※本ページにはプロモーションが含まれています。

このギリシャ・ローマ神話3つのポイント
  1. スキュラの裏切りに、メガラ陥落する
  2. クレタの船を追いかけて行くスキュラの執念
  3. ニーソス王はオジロワシとなって、ケイリスに変身した娘スキュラを襲う
    ※神の名前は、ローマ神話名(ギリシャ神話名)です。有名な怪物スキュラではありません。

スキュラの裏切りにメガラ陥落

ついに、憧れのミノス王に会ったスキュラ。

「ニーソス王の娘スキュラと申します。神託によって祖国と王権を守ると言われている、父の緋色の髪の毛をあなたに差し出します。といっても、あなたのお情け以外は、なにも求めません。わたしの愛の証としてお受けください」

ミノス王は困惑し、一瞬後ずさったほどです。しかし、こう答えました。

「なんという恥さらし! 自分の身勝手さから、父親と祖国を差しだすとは。おまえのような恐ろしい女を、受け入れるわけにはいかない。祖国クレタにも連れてはいくまい。ましてや、クレタは大神ユピテル(ゼウス)の出生地でもあるのだ」

次の日、メガラの城は陥落。ミノス王は、負けた国と住人を踏みにじることもなく、公正な法のもとに支配しました。

ミノス王に追い出されるスキュラミノス王に追い出されるスキュラ

クレタの船を追うスキュラの執念

ミノス王のクレタ船団は、メガラを離れていきます。遠くで見ていたスキュラは、2つの理由で嘆きます。あんな罪を犯した自分とそれに報いてくれなかったミノス王とを。しかし次には、悲嘆が、猛烈な怒りにかわったのです。

「あなたは、情け知らずにも逃げるのですか! 祖国も父をもさしおいて、あなたについたわたし。あなたの勝利は、わたしの罪と尽力の結果です。わたしの愛は、あなたの心を動かさなかったのですか!

ああ、捨てられたわたし、どこに帰ればいいのでしょう? 祖国へ? 滅ぼされて、もうありません。あるとしても、裏切り者のわたしには閉ざされています。では、父のもとへ? 父もいません。また、隣国へも行けません。わたしという裏切りの先例を恐れているからです。

この世界のどこにも帰るところがないわたし、せめてクレタだけでも受け入れてくださらないのですか!

あなたのお母さまは、ユピテル(ゼウス)が雄牛となってさらったエウロペではありますまい。お父さまもユピテルではなく、単なる荒々しい雄牛だったのです。

また、あなたの奥さまは、ダイダロスが木で作った雌牛の中に入り、荒らしい雄牛を誘って、半人半獣のミノタウロスを生んだパシパエさまがふさわしい。あなたの無慈悲が、奥さまに雄牛を選ばせたのも不思議ではありません。

ああ、こんなふうに嘆いていてもしょうがない。こうなっては、あなたを追いかけます!」

こう言ったスキュラは海に飛び込み、クレタの船団を追って行きます。人間を超えたすさまじい速さです!

オジロワシとケイリス

オジロワシ(尾白鷲)オジロワシ(尾白鷲)

クレタの船に手をかけたスキュラは、なぜか空を見あげます。空では、父ニーソス王が娘を見下ろしていました。父は少し前、金色の翼をもったオジロワシ(尾白鷲)に変身していたのです。

オジロワシは船にしがみついているスキュラに迫ってきました。クチバシで彼女を切り裂くつもりなのです。

スキュラは恐ろしさのあまり、船尾から手を離しました。しかし、海面に達する瞬間、水しぶきが上がりました。それは、翼による水しぶきだったのです。彼女も鳥ケイリス (髪切り鳥)に変身していたのです。名前は、もちろん父ニーソス王の緋色の髪の毛を切ったからです。

今も、父オジロワシは、娘ケイリスを探しまわっているということです。

※オウィディウス『変身物語』ではニーソス王がオジロワシ(尾白鷲)、スキュラがケイリス(髪切り鳥)に変身とあります。他説では、ニーソス王がミサゴで、スキュラがシラサギです。ところで、ケイリス(髪切り鳥)とは? 検索しても見つかりませんでした。

鶚(ミサゴ)と白鷺(シラサギ)鶚(ミサゴ)と白鷺(シラサギ)