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このギリシャ・ローマ神話3つのポイント
  1. 白いカラスは、愛人コロニスの不貞をアポロン神に伝えます。
  2. 怒ったアポロン神は、コロニスを矢で射ってしまいます。アポロン神と彼女の子は、半人半獣のケンタウロスの賢人ケイロンにあずけられ、のちに医術の神アスクレピオスとなります。
  3. ケイロンの娘オーキュロエは予言の力を使いすぎて、大神ユピテル(ゼウス)から馬に変身させられます。
    ※神の名前は、ローマ神話名(ギリシャ神話名)です。

ラリッサのコロニス

白いカラス出典

美しい娘コロニスは、ギリシャのテッサリアにあるラリッサという町にすんでいました。彼女のお腹の中には、アポロン神の子がやどっていました。

しかし、コロニスは不貞をしていました。それを知った白いカラスが、主人であるアポロン神につたえます。神は怒り、弓矢を取りだすと、1本の矢をテッサリアの空へむけてはなちました。

矢はコロニスに命中。矢をはなったアポロン神はすぐに『しまった!』と思い、コロニスのもとに飛んで行きます。

矢をうけたコロニスは「赤ちゃんを生んでから、罰を受けることもできましたのに……」と弱々しくつぶやき死んだのです。アポロン神は医者であり、薬の神です。しかし、神がどんな手立てをこうじても、コロニスが生きかえることはありませんでした。

「さしでがましくも、彼女の不貞を知らせ、こんな悲しみのもとを作ったあの鳥も、我が弓矢も、そしてこの手もみんな憎らしかった」。アポロン神の怒りをかった白いカラスは、黒く変身させられました。

コロニスは埋葬されましたが、アポロン神はお腹の子どもを助けだしました。その子はケンタウロス族の知者ケイロンにあずけられます。この子が、後になって医術の神といわれるアスクレピオスです。

医術の神アスクレピオス

ケンタウロス族ケイロンの娘オーキュロエは、予言の力を持っています。アポロン神の子をあずかった父ケイロンがあまりにも喜んでいるのを見て、つい予言をしてしまいました。

「おさな子よ、大きくなるのです。やがて世界の人々の命を救うことになりましょう。おまえによって、多くの人の命が長くなるのです。また、おまえは死んだ人を生きかえらせることもできます。ただし、これは1回がぎりのことです。

冥界の王プルトン(ハデス)が、2回目も生きかえらせることを許さないからです。プルトンは死人を管理しているので、大神ユピテル(ゼウス)に文句を言ったのです。『死んだ人間を生き返らせてもらっては困る』と。ユピテルは雷ていでおまえを打ち、おまえは一度死にます。しかし、おまえは生きかえり、天上の神となりますよ」

医術の神アスクレピオス

ヘビが巻きついた杖を持つアスクレピオス

父ケイロンの運命と娘の馬への変身

「それから、ケイロンお父さまは今は不死ですが、ヘラクレスがたおしたヒュドラーの血をぬった矢をうけ、その毒で苦しみます。そして、死を願う日がやってきます。大神ユピテル(ゼウス)はその願いを聞き入れ、お父さまを死すべき身に変えるでしょう。

ああ、たいして価値のあるものではないこの力、未来のことなど知っていないほうがどれだけよよかったか! なんだか、無性に走りたくなってきた…」

そう言うと、オーキュロエは走りだしました。髪の毛はたてがみとなり、長い衣は尻尾になりました。顔も首も長くなり、馬に変身したのです。人間の声を出しているつもりなのですが、その声は「ヒヒーン」としか聞こえません。名前もヒッペーと変わりました。

父ケイロンはアポロン神にオーキュロエを人間に戻してくれるようたのみました。しかし、この変身はユピテルのしたことで、アポロン神にはどうすることもできなかったのです。