※本ページにはプロモーションが含まれています。

このギリシャ・ローマ神話3つのポイント
  1. 大神ユピテル(ゼウス)はイオという娘と一緒にいました。それに気づいた妃ユノ(ヘラ)がきたので、ユピテルはイオを白い牛に変身させます。
  2. 牛になったイオは砂の上に足で「イオ」と書いて、父にわかってもらいました。
  3. ユピテルは、メルクリウス(ヘルメス)にイオを助けにいかせます。しかし、イオをみはっているアルゴスには、目が100あります。どんなに眠くなっても、最後の2つの目だけはあいています。
    ※神の名前は、ローマ神話名(ギリシャ神話名)です。

ユピテルが好きになったイオ

ダプネの父の河神ペネイオスは、ちかくの河の神々をあつめて会議をひらきました。しかし、1人だけこなかった神がいました。イオの父イナコスです。イナコスはイオがどこにもいないので、もう死んでいるのではないかと、悲しみで洞くつにひきこもっていたのです。

そのイオですが、彼女には残酷なことがおこっていたのです。

ある日、イオが父の河の近くを歩いていました。オリュンポス山から見ていたユピテル(ゼウス)は、「大神たるわしにふさわしい美しい娘だ」とおもいました。

さっそく地上におりてくると、イオに近づきます。「おじょうさん、わしはオリュンポスの大神ユピテルで……」と話しかけます。ところが、イオは逃げだしました。ユピテルは、イオのまわりを暗くして、イオが動けなくしたのです。

牛になったイオを所望するユピテルの妃ユノ

河の神イナコスの娘イオ牛になったイオと大神ユピテルと妃ヘラ

オリュンポス山にいたユピテル(ゼウス)の妃ユノ(ヘラ)は、地上のあるところがとつぜん暗くなったので「これは、おかしい!」と気づきます。そして、ユピテルが宮殿にいないこともわかりました。「夫ユピテルは、女のところへ行ったのに違いない」と、すぐにその暗いところへおりていきました。

ユノがおりてきたので、あわてたのはユピテルです。イオを白い牛に変身させました。イオは牛に変身しても、美しい姿をしていました。ユノはユピテルに「その白い牛はだれのものですか?」とききます。

「いや~、その~、あの~、……」ユピテルは答えられません。すると、ユノは言いました。「では、その牛をわたしにください」

ユピテルは、しかたなく白い牛イオをユノにあたえたのです。

イオをみはる100の目をもつアルゴス

ユノ(ヘラ)は牛のイオを100の目をもつアルゴスに監視させました。こっそりユピテル(ゼウス)がやってくるかもしれないからです。

アルゴスはイオを野原につれていって草をたべさせますが、夜になるとイオを地べたにねかせます。寒さとピュウピュウふく風で、イオはぐっすり眠ることもできません。アルゴスに何か言おうとしても、悲しいかな、その声は「モー」というだけです。

ある日、イオは父イナコスと姉妹がいるところにやってきました。父の手をなめたり、からだをくっつけたりしますが、父は気づきません。また、イオは話そうとしても、「モー」としか声をだせません。

イオはしかたなく、砂の上に「イオ」と足で書いたのです。おどろいたのは父イナコスです。「ああ~、おまえは牛になっていたのか、どうしても見つからないわけだ。でも、こんな悲しいことはない。イオよ、おまえはもう人間とは一緒になれない」

アルゴスがいるので、イオは父と一緒にはかえれません。2人は、涙をながしながら別れたのです。

イオの助けにメルクリウスをいかせるユピテル

ヘルメス・アルゴス・イオヘルメスとアルゴス、イオ

さすがにユピテル(ゼウス)も、イオとイナコスの親子を見ていてかわいそうになり、使いの神メルクリウス(ヘルメス)をイオの助けにいかせます。メルクリウスはアルゴスを眠らせるべく魔法の杖を持ち、空をとべる翼のついたサンダルをはいて地上におりました。

メルクリウスは羊飼いにばけてアルゴスに近づき、イオを助けるつもりでした。そのためには、100の目をぜんぶ眠らせなければなりません。メルクリウスは魔法の杖をつかったり、笛を吹いたり、眠くなるような話をアルゴスにたくさん聞かせました。しかし、98の目はなんとか眠らせても、最後の2つの目だけはあいています。

とうとう、メルクリウスはとっておきの話『シュリンクスの話』をすることにしました。