ヘラクレス

「わたしは雄牛に変身しました。すると、ヘラクレスはまた笑っているのです。『ネメアの獅子を退治したのはわたしだ』と言うと、角を2本つかみ地面に押し倒したのです」

ヘラクレスは向こう岸に着くと、弓と棍棒をとりあげました。そのときです、デイアネイラの悲鳴が聞こえたのです。ネッソスが、彼女を背に乗せたまま逃走したのです。

デイアネイラは、思い出したのです——ネッソスがくれたヒュドラの血染めの布を。「あの布が、また夫ヘラクレスの愛を燃え上がらせ、わたしに戻ってくるかもしれない」

ヘラクレスの人間の部分がすべて焼き尽くされ、ユピテルから受け継いだ神としてのヘラクレスが、新たに輝きをましてよみがえったのです。こうして、彼は死から神格化されたのです。

ガランティス「どなたかは存じありませんが、わたしの奥様に祝福を！　たった今、アルクメネ様は身軽になられました。願いがかない、母となられたのです」。怒った出産の女神エイレイテュイアは…

ドリュオペの最後の遺言です。「この子に『この木の中に母さんが入っているの』と教えてください。また、けっして花を摘まないようにしてください。『木々はみな女神様の体なのだ』と教えてあげてください」

1日だけ若返ったイオラオスを見ると、他の神々も自分の愛する者の若返りを願いました。しかし、［青春の女神］ヘベは、もう2度と若がえりの恵みをほどこさないと誓言。これに対し［正義の女神］テミスが近未来を予言して訴えます。

ミダス王の秘密を知った理髪師。館をこっそり抜け出し、野原に行くと地面に穴を堀ってその穴にささやいたのです。「王様の耳はロバの耳！」と。一年後、野原には葦が一面に生えてきて、風にさやさやそよぐようになりました。