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このギリシャ・ローマ神話3つのポイント
  1. 若返ったソクラテスの甥イオラオス vs エウリュステウスの決着
  2. イオラオスの「若返り論争」で、オリュンポスの神々騒然となる
  3. ユピテル(ゼウス)、若返り論争に審判「運命によって定められたものなのだ」
    ※神の名前は、ローマ神話名(ギリシャ神話名)です。

若返ったイオラオス vs エウリュステウス

ヘラクレスに12の難行を課したアルゴス王エウリュステウス。ヘラクレスの死後、その矛先はヘラクレスの子孫(ヘラクレイダイ)に向けられました。

かつて、ヘラクレスの甥イオラオスはヘラクレスの戦車の御者として難行に同行し、ヘラクレスの多くの冒険を助けました。

ヒュドラ退治の時はイオラオスは森を燃やし、その燃え木でヒュドラの首を焼いて再生するのを防ぎました。ヘラクレスは12の難行を達成した後、自分の最初の妻メガラをイオラオスに妻として与えました。

ヘラクレスのヒュドラ退治ヘラクレスと甥のイオラオス

ヘラクレスの死後、年老いたイオラオスはヘラクレスの子孫と行動をともにし、エウリュステウスの迫害を避けて放浪しました。マラトンにたどり着くと、テセウスの子デモポンに受け入れられます。デモポンはイオラオスたちのために、エウリュステウスの軍勢と戦おうとします。そこにヘラクレスの子ヒュロスが援軍を率いてきました。

老いたイオラオスは戦場に立つと、エウリュステウスの戦車を発見。イオラオスは天上界のヘラクレスの妻でもある[青春の女神]ヘベとユピテル(ゼウス)に1日だけ若返ることを願います。この願いは聞き届けられました。

イオラオスはスケイロンの岩付近でエウリュステウスを捕らえ殺し、長年の恨みを晴らしたのです。(エウリュステウスを殺したのはヘラクレスの息子ヒュロスともいわれます)

「若返り論争」オリュンポスで騒然となる

[青春の女神]ヘベとユピテル(ゼウス)[青春の女神]ヘベとユピテル(ゼウス)

1日だけ若返ったイオラオスを見ると、他の神々も自分の愛する者の若返りを願いました。

しかし、[青春の女神]ヘベは、もう2度と若がえりの恵みをほどこさないと誓言。これに対し[正義の女神]テミスが近未来を予言して訴えます。

「アルクマイオンは、先妻の父ぺゲウスに殺されました。アルクマイオンの後妻カリロエは、息子たちの急成長をユピテル(ぜウス)に願います。『アルクマイオンの死が、長い間報復を受けないでいるのを許すまい』とユピテルは許可。[青春の女神]ヘベは息子たちを急成長させ、父の復讐を成し遂げさせます」

テミスの予言を聞いて、神々は騒然としました。「なぜ、わたしたちにも同じ贈り物が許されないのか!」と不満を言いあいました。

曙の女神アウロラ(エオス)は自分の夫ティトノスが老いてしまったこと、豊饒の女神ケレス(デメテル)は愛するイアシオンが老いていくことを嘆きます。鍛治の神ウルカヌス(ヘパイストス)も、息子エリクトニオスの若返りを要求します。美の女神ウェヌス(アフロディテ)も愛人アンキセスの老いを心配しだします……などなど。

どの神にもお気に入りがいますので、今やオリュンポスは騒然となってきました。

ユピテル「若返り論争」に宣言!

とうとう、ユピテル(ゼウス)が宣言しました。

「諸君、誰が運命に逆らえると思っているのか! イオラオスが若返ったのも、カリロエの息子たちが時を待たず成人したのも、運命によって定められたものなのだ。諸君も運命の支配を受けているが、この世界を統治するわたしさえそうなのだ。そう聞けば、少しは我慢できるというものだろう。

わたしに運命を変える力があれば、わたしの子供たち、ラダマンチュス、ミノス、アイアコスも歳をとることはなく、永遠の若さを保てるだろう。クレタ島の偉大なミノス王さえ、今は辛い老年を背負ったために、人々からうとんじられ、昔のようにまともな支配ができないのだ」

ユピテルがこう宣言すると、神々の騒然さはおさまりました。