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このギリシャ・ローマ神話3つのポイント
  1. 摘まれた蓮の花から血がしたたり落ちる
  2. 蓮に変身した妖精ローティスとドリュオペ
  3. 「わたしの葉たちを守ってください」ドリュオペ最後の遺言
    ※神の名前は、ローマ神話名(ギリシャ神話名)です。

血がしたたり落ちる蓮の花

蓮の花

「わたしの姉の不思議な運命をお話します。涙と悲しみでうまく話せるかどうか、分かりませんが……」
ヘラクレスの息子ヒュロスの妻イオレは、祖母アルクメネに話しはじめました。イオレの腹違いの姉ドリュオペの悲しい物語です。

ドリュオペはアポロンの暴力によって、すでに純血を奪われていました。しかし、アンドライモンに妻として迎えられ、幸せに暮らしていました。

ある日、ドリュオペは1歳に満たない赤ちゃんを連れて、近くの湖に行きました。彼女は乳を飲ませてから、ピンクの蓮の花を摘んで、子供に与えようとしました。

一緒にいたイオレも、花を摘もうとしました。すると、摘まれた花から血がしたたっているではありませんか! また、枝がブルブル震えています。

蓮に変身した妖精ローティスとドリュオペ

後でイオレが聞いた農夫の話によると、妖精ローティスがプリアポスのみだらな言いよりから逃れて、蓮の姿に変わったということでした。

プリアポス】ギリシア神話における羊飼い、庭園および果樹園の守護神で生殖と豊穣を司る、男性の生殖力のである。

ドリュオペはびっくりして、家に帰ろうとしました。が、足が動きません。足が根になり地に生えていたのです。また、体が下の方から変わった樹皮が、体ぜんたいをおおっていきます。

思わず、ドリュオペは髪をかきむしりました。すると、葉が手にいっぱいつくのです。なんと、頭が葉でおおわれていたのです。

乳飲み子アムピッソスも母から乳が出ないので、ぐずり出しました。イオレはなんとかしようと思うのですが、どうしようもありません。

そこへ夫アンドライモンと祖父エウリュトスがやってきました。その時には、ドリュオペはもはや顔を残して、すべて木になっていました。

ドリュオペの最後の遺言

ドリュオペは最後にこう言い残しました。
「わたしはこのような罰を受ける罪は決して犯していません。神にかかて誓います。お願いです。この子は乳母にあずけてください。そして、ここにちょくちょく連れてきて、わたしの木の下で乳をあげて、遊ばせてください。

この子の口がきけるようになりましたら、『この木の中に母さんが入っているの』と教え、挨拶させてください。また、けっして花を摘まないようにしてください。『木々はみな女神様の体なのだ』と教えてあげてください。

さようなら、あなた! さようなら、妹よ! お父様もさようなら。そして、わたしの葉たちを守ってください。けっして、摘まれないように、また家畜などに食べられませんように。

最後に、まだ顔が残っている間に、ぼうやをかかげてキスをさせてください」

こう言いおわるとと、ドリュオペの顔は樹皮におおわれていました。まだ、温もりを残したまま。

ドリュオペとローティスは、レンゲ草になったという説明も多く見うけられます。しかし、人間や妖精が小さなレンゲ草になったとは思われません。蓮の花とした方が良いと思います。

蓮華草