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 ダナオスの娘たちタンタロスで水をくむダナオスの娘たち

アイスキュロスの初期三部作?

第1作『救いを求める女たち
第2作『アイギュプトスの息子たち』(消失)
第3作『ダナオスの娘たち』(消失)
サテュロス劇『アミュモネ』(消失)
ダナオスの娘たち(ダナイデス)については、資料が少ないので消失してしまったのはとても残念です。

アイスキュロス作救いを求める女たち』No.1
コロス(合唱隊)=ダナオスの娘たち(ダナイデス)

(海岸近く神々の像が並ぶ高みの神殿)

救いを求める女たち[1]ダナオスの50人の娘、故国アルゴスに逃げる

ダナオスの50人の娘とアイギュプトスの50人の息子

ダナオスとアイギュプトスは双子の兄弟。ゼウスに連れ去られたイオの子孫です。ダナオスには50人の娘(ダナイデス)がおり、アイギュプトスには50人の息子がいます。

アイギュプトスの息子たちはダナオスの娘たちに求婚
しかし、身内の者を夫にするのを避けたい一心で、ダナオスと娘たちは断りました。それに腹を立てたアイギュプトスの息子たちは、実力行使に出ようとします。

ダナオスと娘たちはそれを察知して、ギリシャの遠い故郷アルゴスに向けて逃げ出しまます。アルゴスはイオの故国です。それを追うアイギュプトスの息子たち。

(コロス=ダナオスの娘たちは神に救いを求める者のしるしとして、白い羊毛の房をつけたオリーブの杖を持って登場)

コロス
「ゼウス様、父ダナオスと私たち一行を守ってくださいますように。
私たちは悪いことをして罰を受け、故郷を追放になったものではなく、身内の者を夫にするのを避けたい一心です。
アイギュプトスの息子たちとの無理強いな結婚を忌み嫌って、ここにやってきました。
追っ手のアイギュプトスの息子たちが、海で嵐に遭遇し最後を遂げますように。

(父ダナオス登場。娘たちにこの国の支配者がやってくることを告げ、異国での振る舞いに注意する)

父ダナオス
「良いか、娘たち。真実のこもった言葉と節度をもって、思慮深い面持ちで話すこと。くだくだしい饒舌は慎むこと。お前たちは他国から逃れてきて、人の助けを求める弱い立場にあるのだから。

(アルゴスの領主ペラズゴイ登場。ダナオスたちの素性を確かめるべくやってくる)

ペラズゴイ
外国の衣装をまとい、誰の案内もつけずにどこからやってきたのか。その杖は神にすがる者のしるしだな。
コロス
はい。あなた様は神職の方でしょうか、それとも領主様でしょうか。
ペラズゴイ
私はペラズゴイ。この国アルゴスの王だ。そなたたちは。
コロス
私たちはエジプトからやってきましたが、アルゴスのイオ様の子孫です。
ペラズゴイ
なんと、信じられないことを言うことか。よく説明してくれ。
コロス
ゼウス様とイオ様の子がエパホス。その子がリビア、その子がベロスで私たちの祖父です。
ベロスの子が父のダナオスで、その兄弟の叔父がアイギュプトスです。私たち姉妹は50人。叔父アイギュプトスにも50人の息子がおります。

ダナオスの50人の娘が脱げてきた理由

ペラズゴイ
なにゆえ、この地にまいって、神々に祈っているのか。
コロス
アイギュプトスの息子との身内の縁組を嫌ってのことです。
ペラズゴイ
一族どうしで結婚すれば、一族の力が増すのではないか。
コロス
結婚すれば、アイギュプトスは私たちを奴隷のように扱います。どうか、アイギュプトスの息子たちが来て要求しても、私たちを差し出さないでください。
ペラズゴイ
それは大変な申し出。新たな戦いになるかもしれない。私としてはまず先に全市民にこのことを知らせ、協議せねばなにもできぬ。
コロス
あなたが王で、あなたの国家ではありませんか。
ペラズゴイ
あなたがたを守れば、その相手アイギュプトスの息子と言ったかな、彼らとの争いになる危険がある。
しかし、願いをないがしろにもできない。そなたたちを助けるか、助けないか、途方にくれるばかり、恐ろしさに肝が冷える。

(ペラズゴイは慎重派で、決して自分では決められない優柔不断の王でした。一度館に退場)

王ペラズゴイ、アイギュプトスの息子との争いを恐れる

(ペラズゴイ、登場)

ペラズゴイ
思案はすませた……いや全く、私はかような争いは避けたいと思っている。私としては何らかの対処を決断するより、あずかり知らぬで済ませたいところだが……
コロス
(煮え切らぬペラズゴイ王に対して)どうか私たちの最後の言葉をお聞きください。助けていただけぬなら、新しい絵馬を奉納してから首を吊りましょう。
ペラズゴイ
何を言われるか。私を責める気なのか。
コロス
申し訳ありません。あなたのお考え、決断をはっきりさせたかったのです。

ペラズゴイ
(どうにも煮え切らない)争いは避けたいが、祈る者をないがしろにするとゼウスの怒りも恐れ多い。
ダナオス殿、祈りの証であるこの若木の枝を神々の祭壇に置いてこられるがよい。わしの従者と一緒にな。立場の弱い者に好意を抱き助けたいと思うのが世の習い。市民も受け入れてくれるはずだ。
ダナオス
王のお心は誠にありがたいこと。かような保護者を見出せたのは、何よりの幸せであります。

(ダナオスは従者とともに退場。その後、ペラズゴイ王もダナオスの娘たち(コロス)に祭壇がある境内で休むよう言ってから退場)