このギリシャ・ローマ神話3つのポイント
  1. 人間のまねが得意なモルペウス
  2. アルキュオネの寝室にケユクス(モルペウス)の幻が出現
  3. カワセミに変身するアルキュオネ
    ※神の名前は、ローマ神話名(ギリシャ神話名)です。

人間のまねが得意なモルペウス

ケユクス(モルペウス)とアルキュオネケユクス(モルペウス)とアルキュオネ

眠りの神ヒュプノスは多くいる息子たちからモルペウスを呼び、虹の神イーリスの命令を伝えました。モルペウスは人間のまねが得意なのです。

ちなみに、ヒュプノスの子には動物をまねるイケロス(人は「ポベトル」と呼びます)、木や無生物の石や水をまねるパンタソスなどがいます。

モルペウスはトラキスに音もなく飛んでいくと、翼を外しケユクスに変わります。顔は死人のように青ざめ、衣服もつけず、ヒゲや髪からは水が滴っています。

アルキュオネの寝室にケユクス(モルペウス)の幻が出現

ケユクスの亡霊になったモルペウスはアルキュオネに近づくと、こう言いました。

「哀れな妻よ。わたしがわかるだろうか? お前の祈りは神々に届かなかった。私は死んでしまったのだから。もう待つことはやめなさい。船はエーゲ海の半ばで南風の嵐にあい、難破してしまった。わたしはお前の名を呼び続けたが、波に囚われてしまった。さあ、早く起きて、私を弔ってくれ。葬儀も出されずに、冥界へ行くことはできぬ」

そう言うと、モルペウスは寝台から去っていきました。驚いたアルキュオネは、手を伸ばして叫びました。
「あなた、待ってください。私も一緒に参ります!」

アルキュオネは自分の声に驚いて、目を覚ましました。そして、ケユクスがいないか、まわりを見ていました。そこへ彼女の叫び声に驚いた召使いがやってきて、理由を尋ねました。彼女は胸元から衣服をちぎって、胸をたたき、髪をかきむしながら話しました。

「ケユクス様は死んでしまった。今夫の幻が現れたの。慰めの言葉はかけないで、わたしも死んだの。ああ、だから一緒に連れていって欲しかった。生きるのも死ぬのも、一緒ならどうなっても怖くはない。ああ、一緒のお墓に入れなくても、墓碑銘は一緒にするわ……」

カワセミに変身するアルキュオネ

アルキュオネはケユクスアルキュオネはケユクス

朝になると、アルキュオネは夫ケユクスを見送った海岸に向かいました。
「あの人はこの岸でキスをしてくれた、それから船出したのだ……」

彼女は思い出しながら海を見やると、人の体らしきものが浮かんでいました。
「ああ、お可愛そうに。きっと奥様もいらっしゃるだろうに」

さらに死体が近づいてくると、アルキュオネは大声をあげました。
「ああ、なんということでしょう! こんな姿で、こんな姿でお帰りになるなんて」

アルキュオネは知らず知らずのうちに、防波堤の上に飛び乗っていました。そんなことは簡単にはできません。不思議なことです。いや、そうではなかったのです。アルキュオネには今まさに翼が生えて、彼女は宙を飛んでいたのです。クチバシからは悲しい泣き声を発していました。カワセミになっていたのです。

彼女はケユクスの上に止まると、口づけしました。ケユクスにもそれがわかっているかのように、頭をもち上げたように見えました。波のせいかどうかはわかりません。ともかく哀れんだ神は、二人一緒に鳥へと変身させたのでした。

鳥になった二人は、今でも仲睦まじく暮らしています。海が荒れやすい冬の季節に、アルキュオネは水に浮く巣にこもります。その七日間は穏やかな日が続きます。彼女の父、風神アイオロスは風たちを閉じ込め、娘のために海を穏やかにしているのです。

アルキュオネアルキュオネ(彼女に上に2羽のカワセミ)

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