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このギリシャ・ローマ神話3つのポイント
  1. ユピテル(ゼウス)に捧げた樫の木をはうアリの行列
  2. アイアコス王の夢にも現れた樫の木とアリの行列
  3. ミュルミドン(アリ人間)の誕生
    ※神の名前は、ローマ神話名(ギリシャ神話名)です。

樫の木とアリの行列

アイアコス王は、アテナイの使者ケパロスに語ります。

「ユピテル(ゼウス)は稲妻と雷鳴によって、徴(しるし)を与えてくださいました。

『お受けいたしましょう。御心を知らせる良き徴でありますように。祈りがかなえられる証と考えます』とわたしは答えました。

近くに、ユピテルに捧げた樫の木がありました。あのドドナの神託所の樫の木が原木です。この木に、アリが長い行列を作って食物を運んでいました。その数の多さに驚いたわたしは、言いました。

『父神よ、このアリの数と同じだけの市民をわたしにお与えください。誰もいなくなった都を、ふたたびいっぱいにしてください!』

すると、樫の木がゆれ動き、枝がざわめきました。わたしは恐ろしさに、髪の毛も逆立ちました。それでも、樫の木と大地に感謝の口づけをしました。わたしは、そっと希望を胸の内に秘めたのです」

アイアコス王の夢〜ミュルミドンアイアコス王の夢〜ミュルミドン

夢の中に現れたの樫の木とアリの行列

「わたしは疲れきって、床につきました。すると、夢の中にあの樫の木が現れたのです。アリの行列もせっせと食物を運んでいます。

その後、樫の木が大きく揺れると、夥しい数のアリが畑に落ちていきます。アリたちは大地に触れると、にわかに大きくなっていきます。何ということでしょうか? 頭と胸が地から立ち上がり、多くの足は消え二本足になり、黒かった体も薄くなり、人間になったのです。

びっくりしたわたしは大声を上げると、目が覚めました。馬鹿ばかしい! 神の助けなどありはしない。そう思った時です。わたしの腕はざわめき、鳥肌が立ったのです。ガヤガヤする人間の声を聞いた気がしたからです」

ミュルミドン(アリ人間)

ミュルミドンたちを前にユピテルに感謝するアイアコス王ミュルミドンたちを前にユピテルに感謝するアイアコス王

「これも夢に違いないと思っていると、急ぎ足でやってきたテラモンが戸を開けるなり言いました。『父上、ご覧ください。早くおいでください! 信じられないことが起こっています』

出ていくと、夢に見た人間たちが並んでいるのです、それもかなりの数です。彼らはわたしに近づいてくると、挨拶しました。

わたしはユピテル(ゼウス)に感謝の供物を捧げました。新しい民には、今は誰もいない家と、誰も耕す者がいなくなった田畑を与えました。

彼らはアリの習性のように、勤勉で、労苦に耐え、蓄えもするしっかり者です。だから、わたしは彼らを『ミュルミドン(アリ人間)』と名付けました。

ケパロス殿、このミュルミドンたちをお好きなだけお連れください。あなたのお供をし、出陣することでしょう」

※彼らミュルミドンは、いずれ英雄アキレウスとともにトロイア戦争に出征します。