このギリシャ・ローマ神話3つのポイント
  1. 『変身物語』では、イアソンとアルゴー船の遠征のいきさつは書かれていません。
  2. 最強最悪の魔女メデイアの告白的な話がメインです。[最強最悪の魔女メデイア②]から
  3. ここでは、イアソンとアルゴー船が黒海の東コルキス国に着く前までの話をまとめました。
    ※神の名前は、ローマ神話名(ギリシャ神話名)です。

アルゴー船の遠征のいきさつ

アルゴー船

『変身物語』では、イアソンとアルゴー船の遠征のいきさつは書かれていません。ここでは、王妃で魔女メデイアのいるコルキスに到着する名での話をまとめておきます。

王子プリクソスと王女ヘラ

テッサリアにアタマス王と王妃ネペレの国があり、二人には王子プリクソスと王女ヘラという子供がいました。やがて、王はネペレに冷淡になり離縁、新妻イノをめとります。

新妻イノはある計略(前妻の子の殺害)を立てます。保存してあった穀物の種をあぶって芽が出ないようにし、その年を飢饉にしたのです。アタマス王は飢饉の原因を突き止めるため、神託を得るためデルポイに伝令を送りました。

これを待っていたイノ、伝令を買収し「二人の子供をユピテル(ゼウス)の生け贄に捧げよ」との嘘の神託を王に告げさせました。

黄金の毛皮の牡羊

二人の子供が生贄にされ、今にも殺されそうになった時、メルクリウス(ヘルメス)が黄金の牡羊をつかわし、二人を助けました。牡羊は東へと飛んで行きます。

ヨーロッパとアジアの境まできた時、王女ヘレは誤って落ちてしまいます。落ちた場所はヘレスポンテス(ヘラの海)と呼ばれました。今のダーダネルズ海峡です。

牡羊はさらに東へと飛んで行き、黒海の東海岸の国コルキスに到着。プリクソスは牡羊をユピテル(ゼウス)に捧げ、コルキス王には牡羊の黄金の毛皮を進呈。王はその毛皮を神に捧げた森の中に隠し、眠りを知らぬ竜に守らせることにしました。

老婆に化けた女神ユノ(ヘラ)

テッサリアのアタマス王国の隣りにイオルコスという国がありました。アタマス王の親族アイソン王の国です。王は政治に嫌気がさし、息子イアソンが成人するまでということで、王権を弟のペリアスにゆだねました。

王子イアソンはケンタウロス族のケイロン(アキレウスなどの先生)の教育を長い間受けて成長し、イオルコスに帰ってくることになりました。帰途の河岸で老婆が困っていましたので、イアソンは老婆を背負って河を渡りました。この時、片方のサンダルを流してしまいました。実は、この老婆は女神ユノ(ヘラ)だったのです。

王子イアソーンの帰還

イアソンは、イオルコスの王宮にやってきました。叔父ペリアスは片方のサンダルしか履いていないこの若者を見ると、かつての神託を思い出しました。〈片方のサンダルしか履いていない者に、王位を奪われるであろう〉

しかし、ペリアスはイアソンと思い出話をし、最後に頼みごとをします。

「親族のプリクソスが『黄金の牡羊の毛皮を取りにきてくれ、そしてわたしの魂を慰めてくれ』と夢枕に立つんだ。どうだろう、もともと黄金の牡羊の毛皮は家宝でもあるし、取りにいってもらえないだろうか?」

イアソンは、叔父の真意『どうせ、途中で誰かに殺される。またコルキスに着いたとしても、そこの王に殺されるだろう』と知りつつも受諾しました。

アルゴスが造った船アルゴー号とその乗員アルゴナウタイ

まずは大きな船が必要になります。イアソンは50人も乗れる大きな船を工匠アルゴスに頼みました。当時はカヌー程度の舟しかなかったので、前代未聞の大きな船です。そして、アルゴスが造った船だったので〈アルゴー号〉と名付けられました。

次にイアソンは乗組員を募集。女神ユノ(ヘラ)の助けもあり、ヘラクレス、テセウス、オルフェウスなど、当時の英雄達が集まりました。彼らはアルゴナウタイ〈アルゴー号の乗組員〉と呼ばれます。〈アルゴー船の遠征〉の始まりです。

予言者ピネウスと怪鳥ハルピュイア

アルゴー船は、偉大な予言者ピネウスのいる港によりました。ピネウスはアポロン神から予言の能力を授かり、その能力で多くのことを予言していました。その予言があまりに多かったため、ユピテル(ゼウス)からある罰を受けていました。

予言者ピネウスと怪鳥ハルピュイア

 

彼が食事をするたびに、女の頭と胸をもつ怪鳥ハルピュイアが現れ、その足と汚物で食卓を汚すのです。イアソンはこの先の航海の苦難を教えてもらうことを条件に、怪鳥ハルピュイアを退治することを約束します。

さっそく食卓が整えられ、いつものようにハルピュイアが現れ、テーブルを足と汚物で汚し、耐えられぬ臭いを残して飛び去りました。すぐさま翼を持った北風の双子の息子カライスとゼテスが追いかけ、退治したのです。

打ち合わせの岩

約束通り、ピネウスはこの先のアルゴー船の苦難を語ります。

「この先に開いたり閉じたりする〈打ち合わせの岩〉がある。間を通る船は、普通ならその二つの岩に挟まれてつぶされてしまう。だから1羽のハトを飛ばして、そのタイミングを見て間を通り抜けるのだ」

次の日、イアソンはハトの飛行を参考に、二つの岩が狭まり開き始めた瞬間、大急ぎでアルゴー船を走らせます。こうして最大の難関を通過することができたのです。目指す黒海の東海岸にある、メデイアのいるコルキス国はもう目前です。

コルキスに着くアルゴー船コルキスに着くアルゴー船

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