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このギリシャ・ローマ神話3つのポイント
  1. アテナイに帰ったケパロス、プロクリスの操を試す
  2. プロクリス、ケパロスの仕打ちに無言で家を出る
  3. 女神ディアナ(アルテミス)からいただいた不思議な槍と犬のライラプス
    ※神の名前は、ローマ神話名(ギリシャ神話名)です。

帰ったケパロス、プロクリスに近づく

アテナイの使者ケパロスは、アイギナ島アイアコス王の末子ポコスに話し続けます。

「曙の女神アウロラ(エオス)に開放されたわたしは、アテナイの自分の館の前に着きました。館は女神に連れ去られたときと同じで、何も変わっていませんでした。

いろいろな理由を考えた末、なんとかプロクリスに会うことができました。彼女は、行方のしれない主人を案じていました。でも、わたしの変わった姿に、気づくこともありません。

ポコス殿、想像してみてください。悲しみをけなげに耐えている彼女がどんな美しく見えたことか!

そんな妻を見て、わたしは『妻の操を試してみよう』ということを忘れるところでした。すぐにもプロクリスを抱きしめ、口づけしたいと思いました。でも、その気持ちをなんとか抑えたのです。

わたしはなん度も贈り物をして、なんとか口説こうとしたのです。しかし、彼女はその度に言います。『わたしはひとりだけのものです。あの人がどこにいても、あの人ひとりだけの喜びをとっておくのです』

ふつうの人なら、これで操の証明には十分でしょう。わたしは、ここで止めておくべきでした」

ぐらついたプロクリス、無言で家を出る

ケパロスは、ポコスに話し続けます。

「『あなたとの一夜のためなら、全財産を捧げても悔いはない!』とさらなる贈り物をしたのです。ついに、わたしは妻プロクリスをぐらつかせたのです。そして、叫びました!

『わたしは世にも哀れな見せかけの誘惑者だ! 目の前にいるのは、お前の夫なのだ。なんという不実な女。言い逃れはできまい!』

プロクリスは恥ずかしさに打ちひしがれて、無言で家を出ていきました。さぞかし、わたしを恨んだことでしょう。それからは、男をさけて山や森をさまよい、女神ディアナ(アルテミス)のように狩猟にだけ励んだのです。

わたしは妻プロクリスへの思いと消失感に苦しみました。『わたしだって、あれほどの莫大な贈り物をされたら、同じ罪を犯しただろう』と。わたしが悪かったことを自認し、彼女に許しをこいました」

譲られた不思議な槍と犬ライラプス

プロクリスから槍とライラプスを贈られるケパロスプロクリスから槍とライラプスを贈られるケパロス

ケパロスは、ポコスに話し続けます。

「プロクリスはわたしを許してくれました。館にもどってくれ、それから元のように幸せな日々が始まったのです。そのときに、この不思議な槍、女神ディアナ(アルテミス)からいただいた槍をわたしに贈ってくれたのです。

また、槍と一緒にの犬ライラプスも贈ってくれました。女神が『走ることにかけては、絶対に負けない犬ですよ』と言われたそうです。

この犬には、驚くべき不思議な物語があるのです。アテナイの北西にあるテーバイ市の事件です。

オイディプスが解いたスフィンクスの謎の後の災いが、荒々しい山狐です。田畑を荒らされる百姓たちは恐れ、犬やワナで捕らえようとしました。しかし、この素早い山狐は、難なく逃げてしまうのです。

そこで、百姓たちから『この山狐を退治してほしい』と依頼されましたの出番です。

山狐と追うライラプスは速すぎて、人の目では捉えることができないほどでした。わたしは丘に上がり見ていましたが、とても決着がつきそうもありません。だから、わたしは、的を外すことがない槍を手にしたのです。

すると、山狐と追うライラプスは石像に変わってしまったのです。どこかの神が、どちらにも負けて欲しくはなかったのだと思います」

とうとう、ポコスが尋ねました。「ところで、ケパロス殿、『この槍が涙を誘うのです』と言われた理由をお教えください」