- 老いた海神プロテウスの予言
- 海の女神テティスvsユピテル(ゼウス)の孫ペレウス
- トロイア戦争の原因となったテティスとペレウスの結婚
※神の名前は、ローマ神話名(ギリシャ神話名)です。
老いた海神プロテウスの予言
ある日、老いた海神プロテウスが、テティスに言いました。
「海の女神よ、身ごもるがよい。あなたは、ひとりの若者(アキレウス)の母となるであろう。その若者は成人した暁には、父親の業績をしのぎ、父よりも偉大な者と呼ばれるであろう」
ユピテル(ゼウス)が、海の女神テティスと結ばれることを避けた理由です。ユピテルは自分より偉大な者が、この世に生まれては具合が悪いのです。
海の女神テティスvsペレウス
女神テティスvsペレウス
テッサリアの入江の近くに、テンニンカの木立があります。イルカに乗った裸のテティスは、その中ほどにある洞穴に昼寝するためよくやってきます。
寝ているテティスを、ペレウスは襲いました。とうぜん、女神は抵抗し鳥に変身すると、彼は翼をつかみ逃しません。次に女神が大木に変身すると、彼は抱きつきます。さらに女神が虎に変身すると、さすがのペレウスも恐ろしくなり、身を引いてしまいました。
ペレウスは海の神々に祈りました。酒を注ぎ、羊の臓物を供え、香をたきます。すると、予言の力をもった老いた海神プロテウスが、渦巻く波間から現れ言いました。
「ペレウスよ、お前はテティスを花嫁にできるだろう。洞窟で眠っている女神に悟られぬよう、罠と強靭な綱で縛り上げるのだ。女神が何に変身しようと、もとの姿に戻るまでじっと取り押さえていることだ!」
トロイア戦争の原因の原因となったテティスとペレウスの結婚
太陽神ヘリオスの車駕が、西の海に迫ろうとしていた時、テティスは再び洞窟にやってきて眠りました。ペレウスは老いた海神プロテウスの言う通りにしました。
今度は、女神テティスが何に変身しようと、ペレウスはじっと我慢し、女神の上におおいかぶさっていたのです。
女神テティスもついにあきらめ、ペレウスにこう言いました。「わたしの負けだわ。これも、大神のおはからいでしょう」
こうして、人間ペレウスは、女神テティスを花嫁にできたのです。
彼らの結婚の宴に投げ入れられた黄金のリンゴが、ユノ(ヘラ)、ミネルウァ(アテナ)、ウェヌス(アフロディテ)の争いとなり、ユピテル(ゼウス)はパリスに審判を委ね、あのトロイア戦争の原因になりました。
また、ペレウスと女神テティスの子が、あの偉大なアキレウスです。