- 男の喜びと女の喜び、どちらが大きいか?
- 男に生まれて、女になり、7年後また男になる
- テイレシアスが盲目の預言者になった理由
※神の名前は、ローマ神話名(ギリシャ神話名)です。
嫉妬するユノの怒り
ユピテル(ゼウス)とユノ(ヘラ)がネクタルを飲みながら、暇を持て余している時のことです。
ユピテルが「これは確かなことだが、女の喜びのほうが、男のそれよりも大きいのだ」と言いました。ユノ「男の喜びのほうが大きいですわ」と反対の意見を言いました。
そこで、テイレシアスの意見を聞くことになりました。彼は男として生まれ、7年間は女となり、また男になったからです。男女どちらの喜びも知っていたからです。
テイレシアスと2匹の蛇
ある日、若いころのテイレシアスは森の中で交尾している2匹の蛇を見つけました。彼が蛇を棒で叩くと、彼は女になってしまったのです。そして、女として生きていきました。男が女に変わる、これも一種の変身物語ですね。
7年後、テイレシアスはふたたびその2匹の蛇を見つけました。「おまえたちを叩くことが、性別を変えるほどの威力を持っているならば、もう一度叩いてみよう」と思いました。彼が2匹の蛇を叩くと、思った通り男に戻ったのです。
「男の喜びより、女の喜びは9倍大きい!」
そう言うと、テイレシアスは「わたしの経験上、ユピテル(ゼウス)様の方が正しいです」と大神とその妃に答えました。
もともと大した問題ではなかったのですが、ユノ(ヘラ)は腹立たしく思い、テイレシアスを盲目にしてしまいました。
神が一度決めたり実行したことは、覆すことは大神ユピテルであってもできません。その代わりに、ユピテルは未来を予知する予言の力を、テイレシアスに与えたのです。その後、テイレシアスが予言者として名を成していきます。
ところで、テイレシアスが最初に予言の力を示したのは、妖精レイリオぺが自分の子が長生きできるかどうか、たずねた時でした。
テイレシアスは「己を知らないでいればな」と予言しました。その予言は16年後に水面に映った自分を見た時に的中したのです。妖精レイリオぺの子とは、ナルキッソスです。