- メデューサの首を取ったペルセウス、西方のアトラスの国ヘスペリアを訪れます。
- ペルセウス、アトラスに一宿一飯を願います。
- ペルセウスの願いを拒否するアトラス、メデューサの首で岩山となり全天空が乗ります。
※神の名前は、ローマ神話名(ギリシャ神話名)です。
西の果てヘスペリアに来たペルセウス
メデューサの首をとったペルセウスは空を飛んでいる時、リュビュア(アフリカのナイル川より西側の北西地区)の上空にやってきました。その時、キビシスの袋に入れられたメデューサの血のしずくがしたたり落ちました。落ちた地から蛇が生まれ、やがてこの土地には蛇類が多いいるようになったのです。
ペルセウスが空中をさらに西方へ、西の果てヘスペリアの国に着いたのは夕暮れ時でした。この国はイアペトスの子巨人アトラスが住んでいます。同じくイアペトスの子プロメテウスとは兄弟になります。
アトラスを訪れるペルセウス
「お頼みします」とペルセウスは、アトラスに言いました。「もし立派な家柄の人を受け入れるというのであれな、わたしはユピテル(ゼウス)の子です。あるいは勲を尊ばれるならば、わたしはそれに値する者です。どうか一宿のご厚情にあずかれればありがたいです」
ヘスペリアの国には、黄金のリンゴがなるヘスペリデスの園があります。それについて、かつてパルナッソス山の女神テミスの神託がありました。
「アトラスよ、お前の木から、黄金の輝きが奪われる日が来よう。それを奪いとる栄誉があるのはユピテルの息子だ」じつは、このユピテルの息子とはヘラクレスをことでした。ヘラクレスの11番目の功業です。
だから、アトラスは神託のユピテルの子をペルセウスだと思ったのです。「ここへは近寄らぬことだ。ユピテルの息子とか、あんたの勲なんてどうでもいい。殺される前に消えろ!」と脅したのです。
ペルセウスといえど腕力では、巨人アトラスにはかないません。
アトラス、大きな岩山になる
「よろしい。わたしをもてなすのが嫌だと言うなら、これを見よ!」ペルセウスはメデューサの首を取り出すと、アトラスの顔の前に突き出しました。
たちまちアトラスは、大きな岩山に変わりました。頭は山頂になり、髪とひげは樹木となり、手と肩は尾根になったのです。
それから、体は西方に果てしなく広がり、全天空がたくさんの星々とともに彼の上に乗っかったのです。それが神々のみ心だったのでしょう。