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このギリシャ・ローマ神話3つのポイント
  1. 制圧された最強の怪物テュポエウス(チュポン)のあがき
  2. 女神ウェヌス(アフロディテ)の怒りで、クピドはハデスに矢を射ます
  3. 冥府の王ハデス、プロセルピナ(ペルセポネ)を略奪する
    ※神の名前は、ローマ神話名(ギリシャ神話名)です。

最強の怪物チュポエウスのあがき

ユピテル(ゼウス)vs テュポエウス(テュポン)ユピテル(ゼウス)vs テュポエウス(テュポン)

ギガントマキアの終盤に、ユピテル(ゼウス)はテュポエウス(テュポン)に手足の腱を切断され、身柄を拘束されていました。しかし、メルクリウス(ヘルメス)に見つけてもらい逆転勝利を収めたのです。

テュポエウスの体の上にはシケリア島が、頭はエトナ山が押さえつけています。ときどき、荒々しい口から火山灰と火炎を吐き散らします。さらに手足を抑えるには広大な土地が必要になっています。しかし、その巨体があがくと大きな地震が起きたりもします。

その揺れは、冥府の天井を崩して、地下世界が埋まってしまうのではないかと恐れた冥府の王ハデス。黒馬に引かせた車に乗り、天井に裂け目ができ、光が差し込まないか見て回りました。

女神ウェヌス、クピドに命じてハデスを射る

エリュクス山から見回っている冥王ハデスを見ておろしていたのが女神ウェヌス(アフロディテ)です。

女神はクピドに命じます。「あの冥界の王の胸を射抜いておくれ! お前は天界のユピテル(ゼウス)さえ、海神ネプトゥヌス(ポセイドン)さえ、射ぬけたのです。残る冥界のみです。

また、今や「愛の力」は軽んじられています。戦の神ミネルウァ(アテナ)も狩猟好きのディアナ(アルテミス)も、処女のままで結婚しません。「愛の力」など無視しているのです。豊饒の女神ケレス(デメテル)の娘も、2人に同調してこのままでは処女のままでしょう。だからハデスと結びつけるのです」

クピドは、とびきりの矢でハデスの胸を射ぬきました。

冥府の王ハデス、プロセルピナの略奪

この時、プロセルピナ(ペルセポネ)はペルゴスという湖にいました。この湖は森に囲まれ、木々がおおい涼しげな岸辺には様々な花々が咲いています。プロセルピナは女友達とスミレやユリの花を摘んでいたのです(この女友達がのちに海の魔物セイレーンとなります)。

そんなプロセルピナを見つけた冥王ハデスは、あっという間に彼女を連れ去ったのです。彼女は友達に助けを求め、母親の名を呼びつづけます。

また摘んだ花々が飛び散ってしまうと、プロセルピナは悲しい顔をしました。自分の身より、花の方があたかも大事であるかのように。

一方ハデスは黒馬たちを叱咤し、手綱を振るいます。深い湖をすぎると、硫黄が立ち込めるパリコイの沼をこえ、シケリア島のシュラクサイにやってきました。