このギリシャ・ローマ神話2つのポイント
- プロセルピナ(ペルセポネ)を略奪した冥王ハデスを阻止する妖精キュアネ
- ハデスを阻止できず、悲しみ、淡い水になって消えてしまったキュアネ
※神の名前は、ローマ神話名(ギリシャ神話名)です。
冥王ハデスを阻止する妖精キュアネ
妖精キュアネ(イメージ:アマゾンの商品から)
プロセルピナ(ペルセポネ)を略奪したハデスはシケリア島のシュラクサイにやってきました。ここにはキュアネの泉とピサに源を発するアレトゥーサの泉の間に狭い岬に囲まれた入江があります。
キュアネの泉の名は、この近くに住んでいる妖精キュアネの名からとられたものです。シケリアの妖精の中では、一番高い位の妖精です。
プロセルピナを車にのせた冥王ハデスを見ると、上半身を泉から出したキュアネは「あなた方はここから先に行ってはなりません!」ときっぱり言いました。
「あなたは、豊饒の女神ケレス(デメテル)の許しを得ないで、プロセルピナ様の婿になることできません。略奪などもってのほかです。つまらぬことですが、わたしも河神アナポスに愛されたことがります。結婚もしましたが、プロセルピナ様のように恐怖からではありません」と言うと、冥王の車の前で大きく両手を広げました。
ハデスは聞いているうちに怒りを抑えられなくなり、持っていた王笏を振り回し、泉の底に投げ込みました。すると泉の底は下界への道を開きます。ハデスの車は、吸い込まれるように、下界へと消えていったのです。
下界へ駆ける冥王ハデス
淡い水になって消えるキュアネ
妖精キュアネは、プロセルピナ(ペルセポネ)を略奪したハデスを阻止することができなかったので、自分の自負心が傷つけられ悲しみました。
傷ついたキュアネは、話すこともできなくなり、体は柔らかくなり、爪や骨は硬さを失っていきます。はじめに全身の中ではほっそりした部分、水色の髪の毛、手足などが溶けてゆきます。
次に、肩、胸、脇腹、背中が淡い水となりました。もはや血管にはただの水が流れ、妖精キュアネを思い出させるものはなに一つありません。