このギリシャ・ローマ神話3つのポイント
  1. 女神ケレス(デメテル)の祭りの夜、父と娘が結ばれる
  2. ミュラの乳母のおせっかい
  3. ウェヌス(アフロディテ)に愛されるアドニスの誕生
    ※神の名前は、ローマ神話名(ギリシャ神話名)です。

女神ケレス(デメテル)の祭りの夜

豊饒の女神ケレス(デメテル)の祭りの日。
信心深い女たちは白い服を着て、九夜の間「愛の喜び」すなわち男との接触をタブーとします。キニュラス王の妃ケンクレイスも祭りに参加していました。ですから、祭りのあいだ、王はひとり寝をしているのです。

王が酔っている時、おせっかいの乳母が話しかけます。
「王様に首ったけの美しい乙女がおります」
「年はいくつだ」
「ミュラ様と同じです」
「では、連れてまいれ!」

乳母はミュラのところに戻ると言いました。「お嬢さま、お喜びください。もう結ばれたのも同然です」
沈んでいたミュラは、心配しつつも嬉しくなりました。

その夜、星たちは黒い雲におおわれ姿を消しました。ミュラは歩いているうちに、三度つまずき、引き返そうかと思いました。フクロウも、不吉な鳴き声を三度あげました。それでも、ミュラは乳母の手にひかれ、とうとう父の部屋の前までやってきたのです。

乳母に父のところに連れられていくミュラ父と乳母に連れられたミュラ

※右バックに2人の男女が走っています。キニュラスとミュラです。このように違う時間を1枚の絵で表現することを「異時同図法」といいます。

父キニュラスと娘ミュラの罪な夜

乳母がドアを開けると、キュニラス王は「こちらへ」と声をかけました。ミュラは怖くなり、ひざはガクガクふるえます。

しかし、乳母がミュラを寝台まで連れてゆき、父親に渡したのです。
「キュニラス様、お受け取りください。この乙女はあなたのものです」

こうして、忌まわしい父と娘の密会は始まり、娘は父の子を宿したのです。次の夜も、その次の夜も、罪はくり返されます。

やがて、キュニラスは乙女の素性を知りたくなりました。ある夜、父は明かりを用意していたのです。

激怒するキュニラス! 剣を取りあげると、逃げ出すミュラ!

アドニスの誕生

9ヶ月の間、ミュラは荒野を逃げ歩きました。しかし、お腹の子が大きくなり、もう歩けません。

「ああ、神様、罪人の声を聞いてくださるなら、この世で犯した罪を、あの世に持って行きたくありません。ですから、この二つの国からわたしを追い出してください。この人の姿を変え、生をも、死をも取りあげてください」

言い終わらないうちに、ミュラの足は土におおわれ、根となり横に深く伸びていきます。その根に支えられて、からだは幹になりました。骨は木部となり、血液は樹液となり、皮膚はかたい樹皮となり、大きくなった腹部をおおいます。

それでも泣いているミュラ。温かい滴が木から流れおちます。その滴は「没薬(ミュラ)」となったのです。

また、木は生みの苦しみから、もだえています。慈悲ぶかい「助産神(ルキナ)」がそばに立ち、手を当てて安産のまじないを唱えます。木に割れ目が生じ、中からひときわ美しい男の子が生まれでました。

大きくなってウェヌス(アフロディテ)から愛されるアドニスの誕生です。

アドニスの誕生没薬の樹木から生まれたアドニス

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