- 女嫌いのピュグマリオン、まるで生きてるような大理石の乙女を彫りあげました。
- 女神ウェヌス(アフロディテ)、ピュグマリオンの願いをかなえる。
- ピュグマリオン、大理石の乙女(ガラテア)と結婚し、パポスという娘をえる
※神の名前は、ローマ神話名(ギリシャ神話名)です。
女嫌いのピュグマリオン、大理石の乙女を彫る
娼婦になった【プロポイトスの娘たち】をみていたピュグマリオン。彼は女の悪いところを見ていたせいで、女嫌いになりました。恋人も作らず、もちろん結婚することもありません。
そして、いつしか大理石の乙女を彫ったのです。その彫像はまるで生きているかよう、彼は恋に落ちてしいました。
ピュグマリオンは彫像に口づけをし、話しかけ、抱きしめました。服を着せ、宝石の指輪をし、首飾りもつけました。「愛しい妻よ」と呼んでは、柔らかい羽の枕に頭をそっとのせ、ベッドに寝かしもしました。
※オウィディウス『変身物語』では、象牙の像となっています。象牙ですと人間の大きさになりませんので、ここでは大理石としました。
女神ウェヌス、ピュグマリオンの願いをかなえる
キュプロス島での女神ウェヌス(アフロディテ)の祭りの日、角に金を被せた雌牛を捧げた時、その務めを終えたピュグマリオンは祭壇の前で願いました。
「どうか、わたしの妻として、大理石の乙女に似た女を妻にください」と。さすがに『大理石の乙女を妻にください』とは言えませんでした。
祭りに立ち会っていた女神ウェヌスは、ピュグマリオンの願いを聞きとどけ、祭壇の炎を三度高く燃えあげらせました。
彫像と結婚したピュグマリオン
家に帰ったピュグマリオンは、すぐに大理石の乙女に近よりました。口づけをすると、なんだか柔らかく、また温かいように感じられました。
手で体を押してみると、何ということでしょう、温められたロウのようにその部分が凹むのです。ピュグマリオンはびっくりしました。何度も何度も体を触ってみました。確かに肌は暖かく、血が通っているように感じられます。
喜びと不安でいっぱいになったピュグマリオンは、女神ウェヌス(アフロディテ)に感謝しました。そして、今度はそっと唇に唇を重ねたのです。
大理石の乙女——今や人間になったガラテアは、恥ずかしそうにピュグマリオンを見つめます。
ピュグマリオンは、ガラテアと結婚することになり、女神も立ち会いました。そして、9ヶ月後に2人にはパポスという娘が生まれました。その娘の名にちなんで、この町はパポスと呼ばれるようになります。
このパポスの息子が、キニュラスです。キニュラスには娘ミュラが生まれ、不幸な父親と呼ばれるようになります。
(そのお話は次回)