イアソンは50人も乗れる大きな船を工匠アルゴスに頼みました。当時はカヌー程度の舟しかなかったので、前代未聞の大きな船です。そして、アルゴスが造った船だったので〈アルゴー号〉と名付けられました。
アルゴー船の遠征の記事一覧
メデイアの独白「抵抗しても、無駄なこと。恋するって、こんなことなのかしら。それにしても、お父様の命令は酷すぎる! ああ、イアソン、あなたの安否が気にかかる。ああ、情熱と理性が別々のことをすすめる!」
メデイアは薬草を金羊毛皮の番人・有翼の竜に振りかけました。この薬草の液には「忘却」の作用があります。そして、穏やかな眠りをよびおこす呪文を3回となえました。こうして、イアソンは金羊毛皮を奪還したのです。
イアソンはメデイアに頼みます。「妻よ、こうして戻ってこれたのは、おまえのおかげだ。おまえの魔力は信じがたいほどである。もし、できるならわたしの寿命の少しを削って、父親の方に回してもらえないだろうか」
鍋の薬汁が完成すると、メデイアはイアソンの父アイソンの喉を切り開きます。切り開いた喉から古い血を全て出し、代わりに血管に薬汁を流し込みます。すると、白髪は黒くなり、肌も若々しくなり、シワも消えていきます。
「メデイアさん、父を若返らすにはどれだけ報酬を払えばいいの?」と、ペリアスの娘たちは問います。メデイアは答えます。「では、いちばん年とった雄羊を1匹用意して。薬の力で子羊にして見せますから」
怒ったイアソンはメデイアのところに行くと、彼女は2人の子供メルメロスとペレスまで殺していました。メデイアが逃亡した先は、アテナイ。アテナイ王アイゲウスは彼女を受け入れ、後に結婚しました。王はテセウスの父です。