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このギリシャ・ローマ神話3つのポイント
  1. 酒神バッカス(ディオニュソス)を神と信じないミニュアスの娘たち
  2. ミニュアスの娘たちは機織りの最中に、順番に物語をします。
  3. 光を避け夜陰に飛び交うコウモリに変身したミニュアスの3人の娘たち
    ※神の名前は、ローマ神話名(ギリシャ神話名)です。

バッカスに帰依しないミニュアスの娘たち

酒神バッカス(モロー作)酒神バッカス(ディオニュソス)

テーバイ市の女たちはペンテウスの事件以来、酒神バッカス(ディオニュソス)に帰依するようになりました。バッカスの祭には、花冠を被り、常春藤(キヅタ)の絡まった杖を持って参加します。

しかし、ミニュアスの娘たちは女神ミネルウァ(アテナ)を崇拝し、バッカスの祭には参加せず、家で女神の特技である機織りをしていました。

娘の1人アルキトエは、「バッカスは、ユピテルの子ではない」とはっきり言います。2人の姉妹も、バッカスを神とは信じていません。

バッカスは東方はインドのガンジス河の辺りまで知れわたり、色々な名前で呼ばれていました。たとえば、
「鳴る神」「雷電のおん子」「二度出生のきみ」「ふたりの母のおん子」「セメレの髪長きみ子」「葡萄しぼりのおん神」「快き葡萄植えの神」「解放者」などなどです。

トラキアのリュクルゴス王は、ペンテウスと同じようにバッカスの信仰を禁止し、狂わされて息子の身体をツタの熟した幹と勘違いして、鼻と耳、手足の指をきり落として惨殺しました。このことから、トラキアの名声は地に落ちます。

ミニュアスの娘たちの物話

「寛大なみ心とお情けをもって、わたしたちのもとへおいでください」とテーバイ市の女たちは願い、祭祀に出かけています。

しかし、ミニュアスの娘たちは家の中に閉じこもり、機織りをしています。そんな娘の1人がこう言い出しました。
「わたしたちは女神ミネルウァ(アテナ)様の機織りをしています。この有益なお仕事がもっと楽にできるように、物語を順番にしてはどうかしら」

他の姉妹たちは賛成して「では、言い出したあなたから物語を聞かせてちょうだい」と答えます。

こうして言い出した娘は『ピュラモスとティスベ』を
次にレウコノエが『マルスとウェヌス』『レウコトエとクリュティエ』を
最後にアルキトエが『サルマキス(メルクリウスとウェヌスの子)』について語りました。

コウモリに変身したミニュアスの3人の娘たち

夕暮れ時になって、アルキトエが『サルマキス(メルクリウスとウェヌスの子)』の話を終えると、とつぜん大きな太鼓の音が響きました。角笛とシンバルの音も鳴り響きます。またあたりには、サフランと没薬の香りも漂ってきます。

すると、どうしたことでしょうか? 機織り機は緑色になり、織った布からは常春藤(キヅタ)の葉が生えてきました。中には、葡萄の木になる布もあり、糸は蔓になりました。

また家が揺れはじめ、ふんだんに油を吸った灯火がパッと燃え上がるように見えました。その炎はあたかも獣のようにみえ、ミニュアスの娘たちは逃げ場を求めて、火炎と光を避けていました。

こうして、暗がりばかりを求めていたミニュアスの娘たちの手足は小さくなり、皮膜が広がり、腕は薄い翼になったのです。そして、小さくなった体は宙に浮いているのです。暗闇の中の彼女たちには、どうしてそうなったのかわかりません。

また、姉妹がお互いに声を掛けあっても、「キーキー」という小さな声だけしか出せません。娘たちは光を嫌って、夜陰に飛び交うコウモリに変身したのです。

コウモリ