このギリシャ・ローマ神話3つのポイント
  1. アテナイの祭りの日、アテナイの上を飛びまわるメルクリウス(ヘルメス)。神は、ケクロプスの娘ヘルセに恋をします。また、ヘルセの姉アグラウロスに恋の仲立ちをたのみます。
  2. 女神ミネルウァ(アテネ)はアグラウロスがヘルメスから大金をせしめることを知り、彼女に嫉妬させるよう「嫉妬」の女神に命じます。
  3. メルクリウスは、嫉妬に狂ったアグラウロスを石に変身させます。それも、彼女の心のような真っ黒な石に。
    ※神の名前は、ローマ神話名(ギリシャ神話名)です。

メルクリウスのヘルセへの恋

アテナイの上空を飛ぶ神メルクリウスアテナイの上空を飛ぶ神メルクリウス

アテナイの上空を飛びまわっていた神メルクリウス(ヘルメス)。神は祭典の娘たちの中にいた華ともいうべき美しいヘルセを見つけ、恋に落ちました。

メルクリウスは、ヘルセの父ケクロプスの屋敷に舞いおります。屋敷の中には、3部屋並んでいる階があります。右奥にパンドロソス、左手前にアグラウロス、真ん中がヘルセの部屋です。

いち早くメルクリウスに気づいたアグラウロスは、神に名前と用向きをたずねました。「わたしはユピテル(ゼウス)の子メルクリウス。はっきり言おう。わたしの目当てはヘルセだ。あなたはいずれ、わたしの子の叔母と呼ばれるであろう。だから、恋の仲立ちをたのみたい」

アグラウロスはお礼に大金を要求し、その晩は神を去らせました。

ミネルウァ「嫉妬」の女神のすみかへ

「嫉妬」に命じるミネルウァ「嫉妬」に命じるミネルウァ

女神ミネルウァ(アテナ)は、赤ん坊エリクトニオスの箱を開けたアグラウロスを思い出し、怒りのため息をつきました。自分の妹ヘルセとの恋の中立のためにメルクリウスに大金を要求した彼女に。

ミネルウァは、ただちに「嫉妬」の女神のすみかに向かいました。その家は、谷底に隠れ、陽もささず、風もなく、陰うつで、寒気に包まれています。また、どす黒い血や膿でおおわれています。火は赤々と燃えることはなく、暗黒にとざされています。

ミネルウァといえども、「嫉妬」の家に入ることは許されていません。槍の先で戸をたたくと、戸が開き「嫉妬」は毒蛇の肉を食べていました。毒蛇の肉が彼女の悪念の栄養になります。「嫉妬」の顔は青白く、全身はやせほそっています。目は正しく前を見ることはなく、いつも斜め横をむいています。

「嫉妬」は人の悲しみを見ること以外、笑うことはありません。いつも心労で、眠ることもできません。人の成功を見るのが、不愉快になります。他人の不幸を食いものにしながら、自分の身をも細めているのです。

「ケクロプスの娘アグラウロスに、おまえの病毒をうつしてほしい」。そう命じると、ミネルウァは立ち去りました。「嫉妬」は鎖がまきついた杖を手にすると、黒い雲に包まれました。

嫉妬に狂ったアグラウロス、真っ黒い石に変身する

「嫉妬」はケクロプスの娘アグラウロスの部屋に入ると、彼女の心臓にイバラを植えつけ、体中に真っ黒な毒を染み込ませます。妹のしあわせな結婚、美しいメルクリウス(ヘルメス)の姿も誇張して見せます。

その後、アグラウロスはヘルセの幸福を思うたびに、苦しみもだえ、昼夜ともなく悩み、呻き声を出すようになりました。「嫉妬」の病毒に、全身も痩せ細っていきます。ひと思いに死のうと思ったこともたびたびありました。

メルクリウスが様子をうかがうためにやってくると、「あなたを追い払うまでは、わたしはここを動きません」と扉のところで言います。メルクリウスは「その申し合わせを守ることにしよう」と部屋の扉を杖で開けました。

アグラウロスは立ち上がろうとしましたが、座っていた足は気だるさで動きません。呼吸も思うようにはできません。もはや言葉もだせす、その顔は血の気もありません。石に変身していたのです。しかも、その石は、彼女の心のように真っ黒く染まっていました。

こうして、メルクリウスは不敬なアグラウロスを罰すると、ミネルウァ(アテナ)の名のついた都市アテナイから天界に帰っていきました。

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