- カオス(混沌)とは何か?
- プロメテウスが霊気が残っていた土を雨水とまぜあわせ、人間を神の姿に似せて造った理由。
- 「火」はプロメテウスの贈り物、文明の礎になります。
※神の名前は、ローマ神話名(ギリシャ神話名)です。
カオスが整理され、天界・自然界の秩序が誕生
カオス(混沌のイメージ)
この世界のはじまりはカオス(混沌)といって、どろんとした塊りのようでした。まだ、空や大地もなく、山や河や海もありません。また、どこにも、生きものはいませんでした。
神—ひときわすぐれた自然—が、天空から大地を、大地から海をひき離しました。また、濃い大気と澄んだ天空をも分けました。天空の一番上に軽い霊気がまいあがり、つぎに軽い大気が空間をしめ、どっしりした重い色々な物質を含んだ大地が下の方へおしやられます。つぎに、大地のまわりを水がかこみ海となったのです。
神は、作業を進めていきます。
大地はどこから見ても均等な形になるように、大きな球にまるめられました。そのうえ、泉、沼、湖が加えられ、傾きのついた河が曲がりながら走り、あるものは大地の中へ、あるものは海へとたどり着きます。
さらに、大地の平原が沈むと谷ができ、そそり立つと岩山になり、森がいたるところに現れました。
こうして、自然界が整えられると、全天に星たちが輝きはじめました。この星と神々が天に住み、魚たちが海に住み、鳥や動物たちが大地に住むようになりました。
人間の誕生とプロメテウス
自然界には、多くの動物たちがあふれてきました、しかし、高度の知的能力をもち、他の動物を支配できるような生き物はまだいなかったのです。
そこで、神—ひときわすぐれた自然—が、自らの神的な種から人間を作ったのかもしれません。あるいは、天空と切り離された大地の中に霊気が残っていたのかもしれません。イアぺトスの子プロメテウスは、霊気が残っていた土を雨水とまぜあわせ、神の姿に似せて人間を造ったともいわれます。
その時、ほかの動物たちは前か下にしか顔をむけていなかったのす。だから、プロメテウスは、人間には顔をあげて空を見るように言いつけたのです(神に感謝するようにとも)。
人間に「火」を与えるプロメテウス
人間に「火」を与えるプロメテウスと女神ミネルウァ
プロメテウスは、鳥には翼、動物には4本の足、魚にはエラとそれどれ素晴らしい贈り物をしました。だから、人間に贈るものがなくなっていました。
そこで、プロメテウスは、人間には天上界の「火」をあたえようと決めたのです。
プロメテウスは天界の太陽神の宮殿にいきました。そして、女神ミネルウァ(アテナ)のゆるしをえて、太陽神の車から明るくかがやく「火」をとってきたのです。
この「火」は、はじめは食べものを焼いたり、煮たりするときに使われました。そして、「火」はたくさんの機械を作りだし、大きな文明を生みだすことになります。
※「火」の話は『変身物語』には出てきません。