「わたしは雄牛に変身しました。すると、ヘラクレスはまた笑っているのです。『ネメアの獅子を退治したのはわたしだ』と言うと、角を2本つかみ地面に押し倒したのです」

ヘラクレスは向こう岸に着くと、弓と棍棒をとりあげました。そのときです、デイアネイラの悲鳴が聞こえたのです。ネッソスが、彼女を背に乗せたまま逃走したのです。

デイアネイラは、思い出したのです——ネッソスがくれたヒュドラの血染めの布を。「あの布が、また夫ヘラクレスの愛を燃え上がらせ、わたしに戻ってくるかもしれない」

ガランティス「どなたかは存じありませんが、わたしの奥様に祝福を！　たった今、アルクメネ様は身軽になられました。願いがかない、母となられたのです」。怒った出産の女神エイレイテュイアは…