出航当日、アルキュオネは海岸の船を見ると、夫ケユクスの前途の不幸を予感したかのように身ぶるし、夫の胸にすがりつきました。そして最後に「さようなら」と言うと、くずれ落ちてしまいました。
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高い波の一撃で、船は海底に沈みました。ほとんどの船員たちは死に、生きている者は砕けた板にしがみついています。ケユクス王もその一人で、『明けの明星』である父と妻の父である『風神』に助けをこいました。
アルキュオネは知らず知らずのうちに、防波堤の上に飛び乗っていました。そんなことは簡単にはできません。不思議なことです。アルキュオネには今まさに翼が生えて、彼女は宙を飛んでいたのです。