- デウカリオンとピュラによって生みだされた人間がふえてきたころ、巨大なヘビのピュトンが生まれました。
- 人間はだれも、ピュトンとは戦えません。そこにあられたのが若きアポロン神です。
- ピュトンを退治したアポロン神は「ピュティアの競技会」を開催。勝者には、月桂樹ではなくカシの冠をあたえます。
※神の名前は、ローマ神話名(ギリシャ神話名)です。
巨大なヘビ「ピュトン」
デウカリオンとピュラによって生みだされた人間がふえてきたころ、ドロにおおわれた森の木々はよみがえり、田や畑もきれいになりました。また、食べものも実り、生きものもふえてきました。しかし、新しいおそろしい生きものも生まれました。それが、巨大なヘビのピュトンです。
パルナッソス山にまきつくほど大きかったピュトン。このままでは、たくさんの人間が食べられてしまいます。やっとふえてきた人間がいなくなっては、デウカリオンとピュラが多くの石を投げたのもムダになります。
といって、だれもピュトンと戦える人間はいません。そこに現れたのが、オリュンポス山からおりてきた若きアポロン神です。
若きアポロン神のピュトン退治
アポロンはまだ若い神ですが、弓の名人でもあり、竪琴もかなでる音楽家でもあり、医術の神でもあり、予言の神でもあります。いわば、神々の中でも万能の神であり、弓矢はすばらしい腕前です。しかし、まだこのころは大きな動物は少なかったので、アポロンといえども、野ウサギなどの小さな動物を弓矢で射ていただけでした。
アポロンは弓矢を構えると、第1の矢を放ちました。矢は、ピュトンの頭をかすめます。大きな鎌首を空たかくあげるピュトン。いまにもアポロンを飲みこもうとします。
アポロンもすばやく弓をかまえ、2本目の矢を放ちます。矢はみごとにピュトンの右目に当たりました。怒ったピュトンはまっ赤な口を大きくあけて、アポロンを飲み込もうとします。
ピュトンの頭がものすごい速さで近づいてくると、その頭より高く舞い上がったアポロン。放った3本目の矢は、眉と眉のあいだに命中。眉間は、ピュトンの弱点です。さすがのピュトンも、地面にたおれててしました。
ピュティアの競技会
アポロンはピュトンをたおしたことがとても誇らしく、競技会を開くことにしました。「ピュティアの競技会」といって、徒競走、拳闘、馬車競争などが行われました。
そして、勝者にはカシの冠をあたえました。今では冠は月桂樹ですが、このころにはまだ月桂樹がなかったのです。
月桂樹は、ダプネという娘が変身した木です。その話は次回に。